羽生結弦は日本製家電製品
世界で大人気の優秀な性能の工業製品、
という意味ではないですから、
あしからず。
世界中のショーウィンドウから
次々姿を消し、
かつては後進国と揶揄した他国の家電製品の後塵を拝すも、
「そんなことはないはずだ!」
と、
自分たちの優位性を最後まで信じている
「日本、すげえ」の発想と
同じものが
羽生結弦の存在に投影されている。
事実はどうかなんて、どうだっていい。
イメージが大切。
そして、欲望に満ちた資本主義的思考。
資本主義の世界において、
物事の価値は正確に評価されることはない。
というのも、
資本主義では「他人が気にいるであろうことをする」ことに重きを置かれるからだ。
自分がいいと思っても、他人がいいと思ってくれなければ、ものは売れない。
逆を言えば、自分が納得いかなくても他人がいいというものを選ぶ方が、最終的に自分の儲けにつながる賢い選択なのだ。
ゆえに、資本主義では「別に誰もこれが一番いいと思っているわけではないもの」が一番に選ばれる。そして、誰にも一番いいと思われているわけではないのに、一番に選ばれたものは、「選ばれた」という事実によって、価値をつけられ、いったんつけられた価値を反転させることは難しく、「どうしてそれに価値があるのかわからないけど、どういうわけかそれが良しとされ、評価される」という事態になる。
しかし、価値が反転する時期というのは必ず訪れる。
社会は確実に毎日変化し、環境は流転し続けているからだ。世代ごとに価値観が変わるように、社会を構成するものはひとところにとどまることを嫌う。
日本は自動車分野以外で確実にその存在感を喪失しつつある現実が避けようもないものであるように、そのうち、このまま「すげえ」が続けられるわけがないのである。
でも、そんないつかがくるなど、陣営の皆さんは思ってもいないだろうけど(笑)。
クリケット自体は次のカモさんを見つけることに今後4年間邁進するのだろうが、一から育てるより、どっかから引っこ抜いてくるんだろうなあ。誰になるのだろう(興味津々だ)。闇のフォースに惹きつけられ、堕ちていくのはいったい誰だ? スターウオーズの続編より、こっちの方が面白いかもしれない。
ここ数年で、身売りされた家電製品部門のように、現実の波は、イメージなどといううわついた夢想を蹴散らしていく。波間に浮かぶ泡沫は、いったい私たちにどんな感情をもたらすことになるのだろうか。